【読み方】
おまえのため
【類語】
- お前のためを思って
- あなたのためだから
【使用例】
部下「有給休暇を取得します。」
上司「そんなんだから仕事ができないんだ。休まず仕事しろ!お前のためを思って言っているんだ!」
【本来の意味】
「ため」には、下記の意味がある。
利益があること。役立つこと。
[出典:デジタル大辞泉]
つまり、「お前の利益になること、役立つこと」という意味である。
よって、「お前のために思って~を言う」と述べた場合は、聞き手の利益になること、役立つことの助言をしていることになる。
【ブラックな意味】
下記の意味がある。
① 自分のために利益があること。役立つこと。
② 相手を自分の思うがままに、奴隷としてコントロールするための説得表現。
③ 自身の言動の正当化。
①の意味と②、③の意味は相互関係にある。
「自分の利益のため」に「相手のコントロール」、「自己正当化」し、また、「相手のコントロール」、「自己正当化」をすることで「自分の利益」に繋がる結果となる。
「お前のため」と言うことで、自分の言動に誤魔化しを入れている。
自分の利益のために、誰かを不幸にするとき、「他人のため」と言っておけば、自分のやっていることは「何の問題もない、良いことである」と疑似的に正当化、肯定できる。相手を傷つけても良いという免罪符となっている。
自己愛性人格障害のようなパーソナリティ障害、ナルシシズムを有する人がこの発言をする傾向があり、自分が相手よりも上の立場、絶対的権威、上流国民といった存在になりたいという願望があり、傲慢な発言である。自分に自信がない、精神が子どものときから成長していない未熟者である。
また、上司部下の関係だけではなく、親子関係にもしばしばこの発言が見られ、この発言の裏には、相手を思う通りに操りたい、育てたいという心理がある。
自由気ままに生きる猫よりも従順な犬を好む人は、潜在的にこの心理がある可能性があり、犬を飼っているほとんどの人は、そうではないが、一部の人は、この心理を犬だけではなく、人間にも知らず知らずに反映させてしまい、自分の支配下にいる人間をペットのように扱う。
人間は、一人一人それぞれの価値観を持っており、自立している。そのため、ペットのように扱われる人間は不幸になる。しかし、ペットを育てるように人間を支配する人は、ペットをしつけることと同様なことだと考えているので、自分は何も悪いことをしていない、全て相手のためにやっていると思い込んでしまっている。
ただ、発言者は、この心理状態であることに自分自身では全く気づかない。そのため、自分は悪いことをしていないと考えてのこの発言は、非常に厄介である。
最近の日本社会、企業では、「ダイバーシティ」という言葉が流行っているが、それから真向に相対する個人を尊重しない発言である。
また、この発言をする人は、「お前のため」という言葉に代わるような、例え話や他者と比較する話を持ってきて、それを自己正当化の材料、相手を傷つけても良いという免罪符として、長々と相手の仕事の効率を下げるためだけの非生産的な説教をする傾向がある。説教の聞き手は、「その非生産的な説教をする時間があったら、仕事をしろ」とと言いたい気持ちに駆られる。
発言者は、マネージャーとしても教育者としても失格である。
「他人のため」なら、このような発言はしない。
「お前のため~」と言われた場合は、「お前の存在が自分のためにならない」と心の中で返答しながら、軽く受け流すと良い。
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